ご機嫌とり

こひくんがなにかにつけていちいちわたしを褒めてくる。
褒められるのは普通はうれしい事だ。だが、その内容は「あったかい格好をしてえらい」「おいしそうにお菓子を食べてえらい」、果ては「マンガをじっくり読んでえらい」・・・。なんかピントずれてる!一歩間違えると「それは嫌味か?」っていう。とにかくまぁよく褒めてくれるので「なんでそんなにわたしを褒めるのかね?」と聞いてみた。

するとこひくんはこう答えた。
「あぁ!それね!それはみほのご機嫌とってんだよ!」

えーーーーーー

たとえそれが真実だとしても、それわたしに言っちゃダメ!バラしちゃダメ!と思ったが、こひくんはおかまいなしにニコニコとわたしの機嫌のとり方について語りだした。
「あのねー、みほのご機嫌とるのは超チョロいんだよ!超簡単!みほのご機嫌とりなら俺超自信ある!たぶん俺が一番うまいね!そもそも人の機嫌とるにはコツがあるって知ってる!?褒めるのなんて序の口だよ!」
なんでこんな話を私に?と思いつつ、機嫌をとるコツってなんじゃい!?と気になったので、「なにそれ、どんな??」と続きを促した。
「あのねー、じゃあ教えます!機嫌をとるコツはぁ・・・機嫌を上げることじゃなく、下げないことを考えることですっ!!
・・・・・・?
「一度下がった機嫌を元に戻すのはたいへんでしょ?だから初めから下がんないようにするの!そのために俺は努力してるわけ!」
努力って・・・アンタ、わたしの機嫌とるためにそんなに頑張ってたんかい!!なんだか感動してきたなぁ。わたしのためになんかすいません。そしてありがとう。で、わたしの機嫌が下がらないように、キミは一体どんな努力をしてるのかね?


「あのねー・・・・・俺がニコニコ楽しそうにする!!」


・・・・・・・努・・・力??

「俺がニコニコすると、みほって機嫌が下がりかけててもつられて笑い出すじゃん!?だから俺が楽しくするのが一番いいわけ!!」



・・・・・・・。

一般的に奥さんの機嫌をとる方法は、プレゼントを贈るとか家事を手伝うとかじゃあないのかね?ずいぶんと安く簡単にすませた努力だね。と思った。

あげく『つられて笑い出す女』って、ばかみたいな言い方をされたなぁ。とも思った。