想い

「今日は同僚と飲んでくるから帰りが遅くなるよ。でも午前様にはならないから心配しないでね。」朝そう言って出かけていったこひくんが、深夜1時をまわってようやくご帰還。

おいコラ!オマエの『午前様』っていったい何時からを指しとんじゃいっ!とこひくんの首根っこを揺すりあげようとしたところで、ふと、ある変化に気付いた。


・・・あれ?こひくん・・・朝より太ってない??


「えー!ヒドイ!なにそれ!どういうこと!?」

どういうことって・・・(こひくんの腹をむんずと掴んで)・・・やっぱり!明らかに朝より太ってるじゃないか!すげー!オマエすげー!1回飲みに行っただけでこんなに太るなんて!よく見れば、顔も朝より幾分ふっくらしているじゃないか!こえー!1日ビフォアアフターかよ!人間の体ってこえー!

「えー!ふ、太ってないよう!朝と変わらないよう!」
そう言いながら一生懸命腹を引っ込めて細く見せようとするこひくんの姿が痛々しい。「一生懸命引っ込めてそれか・・・」と思うと、嘲笑を通り越して同情してしまう有様。

そんなわたしの目に耐えられなくなったのか、こひくんはこんなことを言い出した。


「で、でもね!俺のこの腹には、みほへの想いが詰まっているんだよ!!みほへの気持ちの表れがこの腹なんだよ!!」



・・・ほほー。そのボテッとした腹が、わたしへの気持ちの表れなのかー。


じゃあ、「あなたの気持ちが重過ぎる。」っていうのは、こういうとき使うセリフなんだね。と思った。