クック

ごはんのみほ

結婚して早2年。以前は料理のまったくできなかったわたしが、いつの間にか毎日のごはんを作るまでに成長した。冷蔵庫をチラーッと眺めるだけで献立がひらめく有様。いやーまったく俺は天才か!前からそうじゃないかと睨んでいたけどやっぱりそうか!料理漫画万歳!

・・・・そんな才能溢るるわたしでも、たまに猛烈にごはんを作るのがイヤになったりする。

昨日の夜もそうだった。
ほんともう作る気しない。面倒くさい。このまま寝てしまいたい。そもそもごはんって一体なんなの。昨日もおとといも作ったのに。ずーっと作ってるのに。いつまで作り続けなあかんの。エンドレスはめ殺しか。わたしごはんに振り回される人生歩みたくない。おなかが空いたっていいじゃない。暖かい石でも抱えて紛らわせばいいじゃない。食べずに座り続けた少年もいたじゃない。そしてなにより、こひくんちょっとデブじゃない。

そんなことを考えていたらどんどんどんどん作る気がしなくなってきた。そしてその気持ちがピークに達した頃こひくんがご帰宅。
「ただいまー!あーおなかすいたー!みほー今日ごはんなにー?」
・・・・フン。ばかじゃない。第一声がそれかよ。わたしごはんなんて知らないよ。
「え・・・?知らないってどういうこと?今日ごはん作らないの・・・?」
『作らない』んじゃないよ『作れない』んだよ。だってもうわたしごはん引退したんだ。だから作っちゃいけないの。本当は作りたいんだけど、残念ながら我が家は今日をもってごはんと決別したんだよ。だからこひくんももうごはんのこと考えるのはやめな。そうすれば、脳ミソにだいぶ空きスペースができてお得だよ。クリアになった頭で、一緒に世界平和についてでも考えようや。
「みほ・・・・・ごはん作るの面倒くさくなっちゃったの?」
なに言ってんだよ。人の話聞けよ。面倒とかそういう問題じゃないんだよ。人聞きの悪いこと言うなって。
「じゃあ俺が作るよ。それでいい?」
いやいやいやいや、それは違うだろ。それじゃあただ単に、わたしがごはん作るの面倒がっておまえに押し付けたみたいになるじゃないか。そうじゃなくって、ウチではもうごはんの制度はやめましたってこと。わかるかね。これは制度改正の問題であって、誰が作るとかの問題じゃないんだよ。ましてや、わたしが面倒くさくなったとか、そういう問題では一切ないの。
「みほぉ・・・じゃあ俺どうしたらいいの〜?俺おなか空いたよう。俺ごはん食べたいよう。」

そのあとも1人でごはんごはんと騒ぎ続けるこひくん。屁理屈をこねるのがだんだんめんどくさくなってきたわたしは、ここで開き直って女理論で再反撃。
「そんなにごはんが好きならごはんと結婚しなさいよ!そもそもわたしとごはんどっちが大事なの!」
「どっちも大事!」
そんな答えダメ!
「えーっ、じゃあみほっ!!絶対みほ!!・・・のごはんっ!!」
っておい!それじゃあごはんの方が大事ってことになるやないのっ!
「あ!そっかー!じゃあごはんのみほっ!!」

!?

ごはんのみほ!?それって・・・・・(イラスト参照)・・・・・結局ごはんやないかっ!!




・・・そんなにごはんが大好きか。それなら仕方ないわたしの負けだ。と思い、そのあと泣く泣くごはんを作った。

わたしが泣く泣く作ったごはんを、2人でパクパク食べた。食べたら元気がでたので、ごはんって大事だなぁと思った。