みほにピアス

わたしの実家からなにやら送られてきた。
開けてみたら、なんとまぁそれは綺麗な綺麗な新品のダイヤモンドのピアスだった。

なんでだ!なんでこんなもんくれたんだ!わたしにはその価値があるから・・・?

わけがわからないのでソッコー実家に電話してみると、お母ちゃんはこう言った。
「アンタ前欲しいって言ってたじゃないの。」
!?
言ったか!?全然覚えてねー。万が一言ってたとしても、そんな易々と買い与えちゃダメでしょーが!俺の教育にわりぃー!
「なによ、なんなの!いらないの!?(怒)だったらアンタ今すぐ送り返しなさ・・・」
いやいやいやいや、いりますよ!ありがたくいただきますよ!そんなに結論を急ぐなよ!キミは相変わらずすぐキレるな!思春期か!
「まぁとにかく、ちょっと早いけどそれ誕生日プレゼントってことにしといて!」
あー、まぁそういうことならもらってもいいか?いいのか?まぁいいか!いやーすいません!ありがとうございます!超ウレシイ!わたし、このダイヤにふさわしい人間になるようがんばるよ!きゃほー!やふー!ダイヤやダイヤやー!イェー!キラキラやー!
さっそく耳につけて浮かれていたら、こひくんが仕事から帰ってきた。「これ見て見てー!」と、おかあさんからもらったことを嬉々として報告すると、こひくんはみるみる形相を変えながらこう言った。
「みほ、そういうやつ欲しかったの・・・?前から欲しかったのに俺にだまってたの!?欲しいのに我慢してたの!?」
えぇ!?
い、いやぁ、だまってたというかなんというか・・・。まぁ、言う機会がなかったというか、欲しいことに自分で気付かなかったというか、気付いてみれば欲しかったというか・・・・・
「みほヒドイよ!俺に言ってくれれば俺が買ったのに!!俺いつも言ってるじゃないか!欲しいものあったらすぐ言いなって!なんでお母さんには言えて俺には言えないの!?なんでそんな遠慮するの!?俺ヤダよ!みほに遠慮なんてされたくないよ!みほが欲しいものは俺が買ってあげたかったのに!みほのバカっ!」

・・・・・あー・・・・・す、すいませんでした。

「これからは俺に遠慮しないで、欲しいものがあったらちゃんと言える!?あれ買ってーとかこれ買ってーとかちゃんと俺に言えるね!?」

・・・・・あー・・・・・まぁ、たぶん・・・・

「たぶん!?」

あ、いや、言えます!言います!

「よしっ!それじゃーそのピアスのことは許そう!これからはなんでも俺に買ってーって言うんだよ!お金がなくても俺がなんとかするからね!」

満足げに笑顔で何度もうなずくこひくん。



・・・・・そんなこと言われたら逆に言いづれー!って言いたいけど、それさえも言いづらい雰囲気であった。