大塚

朝台所でお弁当を作っていたら、居間で朝ごはんを食べていたこひくんが唐突に「みほーっ！みほーっ！たいへんだーっ！」と大声でわたしを呼んだ。
何事かと、作りかけの料理もそのままに大慌てで居間に行くと、こひくんは満面の笑顔をこちらに向け、興奮気味にこう言った。
「今大塚さんがしくじったよ！あーあ、大塚さん、やっちゃった！！」
？？
なになに？なんの話？めざましテレビ？
・・・え！？もしかして大塚さんがなんかヤバイことやっちゃったの！？なになになに！？なにがあったのさ！？言っちゃイケナイことを言っちゃったのか！？それともまさか、ポロリ！？なにをしたんだ大塚範一！
わたしも思わず興奮気味になってこひくんに聞き返した。すると、こひくんは「うふふー」と笑いながらこう言った。
「さっき、『きょうのわんこ』のコーナーでね、大塚さんがコメントするとき、「この犬が〜・・・あ！このわんこが！」って言ったんだよ！わんこって言わなきゃいけないのに間違って犬って言っちゃって、急いで訂正したの！やっちゃったよねー、大塚さん！」

うん・・・・・だから？

で、なんでオマエはわたしのことを大声で呼んだの？一大事だぞー！みたいな呼び方をしたよね？

一体なんなんだ。なんで朝からこんな目にあわなきゃいけないんだ。わたしにとっては犬でもわんこでもうんこでもどうでもいい。好きなように呼べばいい。そんなことより今は、お弁当を時間どおりに作り上げるほうがよっぽど大事だ。

そしてオマエにとっては、人の凡ミスを茶化して言いふらすことよりも、自分の幾多の凡ミスを反省することのほうが大事なはずだよ？と思った。