乙女

こひくんは少々、女の子っぽいところがあると思う。
道端の看板にヘンなキャラクターが描かれているのを見て「カワイイ!カワイイ!」とはしゃぐ姿は、まるっきり乙女だ。小学4年生だ。
料理もうまいし、妙に甲斐甲斐しいし。世話女房?みたいな。

まったく、わたしより女らしいじゃないか。わたしだって女らしいけど!(←張り合う)


「こひくんはほんと、女の子みたいだなぁ。」とわたしが言うと、こひくんはこんなことを言い出した。
「俺、前世が女だったからね!」
・・・ハァ?
「俺ね、前世は女なの。どっかの国のお姫様だったんだって。」
・・・
「だからぁ!俺の前世は、どっかの国のワガママなお姫様なんだって!だから女の子みたいなトコがあるのは仕方ないの!」
・・・そんなこと誰に言われたのさ?
「子供の頃に食べたアイスの棒。」
・・・ハァ?
「アイスの棒に占いがついてたの!棒にそう書いてあったもん!」
・・・


なんだかツッコミどころが多すぎて、なにも言えなかった。
「じゃあもうそれで。それでいいです。」という気分になった。


でも、しばらくしてからふと、「アイツの前世がお姫様ってことは、わたしの前世は王子様か・・・?」と考えてしまった自分がいて、そんな自分がすごくイヤだ。わたしのバカ。