ニーガター 其の一

雪の壁は硬いのだ!

オス!ひさしぶり!オラみほ!ちょっくらこひくんの実家ニーガターに遊びに行ってたぞ!ヨーソロー!
死んだと思ったか!バカめ!生きてるぞ!そう易々と死ぬか!僕は新世界の神になる!


ニーガタは雪がすごかった!わたし、あんなに大量の雪を見たのは初めてだ!興奮した!道の両脇が雪の壁なんだ!(写真参照)すっげー!
こひくんちに着いて車を降りた早々、わたしはその雪の壁めがけてパンチをしたよ!ズボッとね!そう、ズボッと。ズボッとなるもんだと思ってたんだ、てっきり。ところがどっこい!『ズボッ』じゃなく『ゴッ』と鈍い音をたててコブシが砕けた!なんてこと!硬っ!雪硬っ!コ、コブシがっ!俺の左のコブシがっ!・・・なにコレ、血みどろ?イヤン!想定の範囲外!
これはヤバイよ。タモさんヤバイよ。まだこひくんのご両親にご挨拶もしてないってゆうのに、この血の吹き出したコブシをどうすりゃいいんだ。こんなコブシじゃ家に入れないよ!敷居をまたげないよ!


・・・仕方ないので、血みどろの左手を隠しながら家に入りました。


左手を隠したまま挨拶を済ませ、左手を隠したまま出された羊羹を食べたよ。わたし左利きだからね。こりゃシンドイね。そして不自然。そんなことをしているあいだにも、左のコブシからは血がドクドクと流れているしね。
痛いし血も止まらない。ヤベェ。脳裏をよぎるのは『再起不能』の4文字。あぁ、このコブシがダメになってしまったら・・・俺、もうリングには立てなくなるのかな・・・?
遠方からはるばるやってきた嫁がコブシを真っ赤に染めてることを知ったら、こひくんのご両親もやりきれないだろうに。ここは我慢だ。我慢と忍耐。


でも結局こひくんが、「ちょっと!みほ!その手どうしたの!?」と騒ぎ出したのでバレてしまったよ。あの穀潰し。よけいなことばっか言いやがって。


こひくんのご両親は、大笑いしながら治療してくれた。お義父さんからは「どんだけ力こめてパンチしたんだよ!」と言われた。お義母さんからは「なんであんなとこパンチしようと思ったの!?」と言われた。


穴があったら入りたいとはこのことだ、と思った。


でもわたしは、左のコブシと引換えに出オチの笑いがとれたことをとても嬉しく思います。左のコブシでこひくんの両親を制した。