側転

茶碗を笑う者は茶碗に泣く

こひくんと話していたら、なぜか「家の中で側転できるか」という話になった。


わたしたちの部屋ははっきりいって狭い。
こひくんが一人暮らししていたワンルームにわたしが転がり込んでいる形なので、ドタンバタンできるスペースは、はっきり言って全然ない。


こひくんは、「たぶんできると思うけど、危ないからやらない。」と言った。わたしは、「できるというならやるべきだ。」と思った。
こひくんにそう言うと、こひくんは「やれってことか・・・」と呟き、比較的スペースのある台所に移動し、早速やって見せてくれた。


おぉ!スゲー!


・・・っておい。ちょっと。全然すごくないよ。足が全然伸びていないよ。
そんなのは求めてないんだ。そんなのは側転とは言わない。わたしは、もっと足をピーンと伸ばした迫力のある側転が見たい。
こひくんにそう告げると、こひくんは「わかったよ・・・」と言ってもう一度チャレンジしてくれた。



―ガンッ!!!ガチャーン!!!っっっ!!!


足をピーンと伸ばして側転をしたこひくんは、台所のシンクに思いきり足をぶつけてその場にうずくまった。
わたしはそんなことよりも、「お茶碗が割れる音がした!シンクの中にはわたしのお気に入りのお茶碗がっ!」ってことで頭がいっぱいになった。
うずくまるこひくんをまたぎ、急いでシンクの中を覗き込む。


・・・割れていたのはこひくんのお茶碗だった。(写真参照:左は無事だったわたしのお茶碗)


よかった。わたしのお茶碗割れてなくてホントよかった。
皆さん、ご心配をおかけしました。わたしのお茶碗は無事でした。もうなんの心配もいりません。