ゴージャス

こひくんがすれ違い様にわたしの足を踏んだので、必要以上に「痛ーい!信じられなーい!有り得なーい!」と騒いだった。
するとこひくんは「そんなつもりじゃなかったすいません!間違えて踏んでしまいましたごめんなさい!」と必死で謝ってきた。
「仕方ないから許してやろう。感謝するがよい。」
わたしが偉そうにそう言うと、こひくんは
「ありがとうっ!感謝しますっ!!」
とホッとした顔をした。
「よろしい。その感謝の気持ちを忘れないようにねっ。」


するとこひくんはこう言った。
「うん!感謝する!もっとする!デートはゴージャスにする!」


えーっ!!
な、なんと!なんといい心がけ!アンタ偉い!
いや〜、言ってみるもんだね!たまには言いがかりつけてみるもんだね!
まさかデートをゴージャスにしてもらえるなんてね!予想外の収穫!
「やーん!マジ!?マジ!?ゴージャス!?うそーん!ありがとーっ!!!いや〜なにしてもらえるんだろうなぁゴージャスって!」
わたし、小躍りして喜んだよ。
そしたらこひくんはこう言った。

「えー、違う違う!スマップ!スマップの歌!!・・・え、気づかなかった!?感謝感謝言ってたからたまたま思い出しただけ!思い出したから言ってみただけだよー!」

スマップの歌・・・感謝・・・
・・・カンシャして?もっとして?デートはゴージャスに?


―はぁ?


おまえは感謝の気持ちも反省の気持ちも足りないよ。それどころか、わたしを小ばかにしているね?と思った。