運転

車を運転しているときのこひくんって、気が短いんだよ。すぐ怒るんだ。
おかしな運転する車があろうものなら、「おンまえっ!ぶつけてやる!」とか「アイツは死んだらいい!」とか、なにもそこまでってぐらい、もうケチョンケチョン。
そんなこひくんを、わたしはいつも「おー怖い。さすが器が小さいなぁ。」と思いながら眺めているんだよ。助手席から。


で、今日も車で買い物に行ったんだけどね。
道がめちゃめちゃ混んでたの。サタデーナイトでフィーバーしちゃってる感じ?車が全然進まないのよ。
「なんでこんなに混んでんだよっ!どっかで事故ってんのか!?あぁ!?ちくしょー!」
ってな感じでこひくんのボルテージもフィバっちゃって。内気なわたしはビクビクだよね。
そんなさなか、ガソリンスタンドから出てきた車(古い型のマークⅡ)がわたしたちの車の前にムリヤリチックに割り込もうとしてきたよ。
「あーもうこりゃ終わった。」正直わたし、そう思ったね。
「おっちゃん、アンタやっちゃいけないことをやっちゃったよ・・・こひくんの怒りに火をつけちゃったよ・・・。もうわたしには止められないよ!覚悟しな!」ってなもんさ。こひくんの必殺『ケチョンケチョン』が炸裂しちゃうぜ!


ところがドッコイ!!その車を見てこひくんはこう言ったんだ!
「ふーん・・・まぁ入れてやるか。カクカクした車だから許してやろう。」


えーーーっっっ!!!意味わかんねーーー
緊急事態発生!緊急事態発生!角ばった車に寛容な意味がわかりません!!


でもわたし、そこでふと気づいたよ。
もしかするとこひくんの今までの『ケチョンケチョン』は、走り方やマナーがどうこうじゃなくてただ単に「丸っこくてかっこいい車に乗ってるやつが許せない」ってだけだったんじゃないかってこと。
いい車に乗ってるやつに対する妬みがこひくんに悪態をつかせていたんだ。


器が小さいどころか、器自体を持ち合わせていなかったんだね。