家事

こひくんに「来年は家事を頑張ろうと思う。」と宣言したら、「みほは偉いなぁ」と褒められた。
いい気になったわたしは、もっと褒められるべく「それはもう頑張る。ありえないくらい頑張る。来年のわたしは一味違う。アホみたいに家事ばっかする。完璧にこなす。」としつこく繰り返した。
だがこひくんは、わたしの褒められたい気持ちとは裏腹に「そこまで頑張らなくてよい。実は俺は、頑張って欲しいとはちっとも思っていない。」と予想外なことを言いだした。
「どうしてだ。わたしがめちゃくちゃ家事をやるようになったら、願ったり叶ったりではないのか」とわたしが聞くと、こひくんはこう答えた。
「みほはかしこいから、手の抜きどころがわかっているだろう。だから家事は手抜きでよい。無理して頑張ってストレスを溜めるより、みほには毎日楽しく過ごして欲しい。みほが楽しそうにしているのが俺は一番嬉しいのだ。」



―この人は神じゃないかと思った。
まだ25歳なのに、同じ歳の相手にそんな達観したことが言えるなんて。神じゃなければなんだろう?仙人?僧侶?賢者?勇者?
そんなことを言われたら、世の女性はみんなこひくんと結婚したがるだろう。と思った。


でもよく考えたらこひくんは、オタクでデブでメガネで汗っかきで痔持ちで貧乏で毛髪量が減少傾向にあってちょっと間抜けでオナラばっかりしてるから、結婚となるとみんな「いい人なんだけど・・・」と二の足を踏むかもしれないな。とも思った。