うんこ

こひくんに秘密にしていることがある。

話はわたしが小学生のころに遡る。
まだふんどしになる前、『僕らの七日間戦争』とか出てた頃の宮沢りえが、雑誌のインタビューで『日課は毎朝歯ブラシに歯磨き粉を出すとき、うんこのようにとぐろを巻くこと。キレイに出来たらその日一日幸せになる!』と答えていた。
エーッ!?す、すっげー!宮沢りえがうんこ!?か、かわいいー!!!
それを読んでものすごく感銘をうけた小学生のわたしは早速やってみた。

…うまくできなかった。何度もトライした。お母さんに見つかってすっげー怒られた。「このバカッ!無駄遣いっ!」って殴られた。

無駄遣いなのはこちらだって百も承知だ!だけど、無駄遣いがなんだってんだ!こちとら幸せを追い求めてやってんだ!幸せの代償が無駄遣いなら安いもんじゃないか!
と言い張りたい気持ちはあったが、また見つかると殴られるし、幸せを求めてする行為なのに怒られたら元も子もないので、自分の中で無駄遣いにならないようルールを決め、それからも親の目を盗んでこそこそうんこを作り続けた。

そう。この歳になるまで。
たぶん今はもう宮沢りえは馬鹿馬鹿しくて投げ出したであろうこの日課を、わたしは小学生の頃からコツコツと細く長くこの歳までやり続けてるってワケ。ちょっと自慢っぽい言い方になるけど。


でもこの事こひくんに言ってない。もしバレたらまた「このバカッ!無駄遣いっ!」って殴られるかもしんないと思うと(トラウマ)怖くて言えない。あげく普段からあいつは、「おまえは小学生並みだ」とわたしのことをバカにしてるフシがあるので、「うんこ作ってます」なんて言った日にゃあそれこそドツボにはまりかねない。

この日記はこひくんも見ると思うので、どういう反応をされるかハラハラドキドキしている。もしこひくんが「この無駄遣いっ!」と怒り出すようなら、こちらは別れることも辞さない構えだ。