プレゼント

こないだわたしが「わたしは今財布が欲しい。だからこひくんが買ってくれればいいと思う。」とこひくんに言ったとき、こひくんは、「えー?いったいなんの記念に俺がプレゼントしなくちゃいけないの?」とあからさまに嫌な顔をした。
わたしは本気で買ってもらうつもりで言ったわけではなかったので、勝手に本気で受け取ったあげく真剣に嫌な顔をしたこひくんに正直カチンときた。普通に「いいよ買ったげる」と言ってれば「ウソウソ冗談!気持ちで充分だよっ!ありがとう!」で済む話なのに、なぁに本気で嫌な顔してんだよっ!えっ!?そんなに嫌か!?わたしには一銭も使いたくないってか!?おいコラ!という気分だ。
そこで予定を変更して、意地でも買ってもらうことに決めた。

「おまえはなんて付き合い甲斐のないヤツだ!なにが『なんの記念に?』だバカたれ!ふたり一緒にいられる毎日が記念日だろ!?違うか!?あえて記念日が必要か!?記念日じゃないとプレゼントできないのかおまえは!記念日の贈り物はプレゼントじゃなくて記念品だろーが!記念日以外でプレゼントしてこそプレゼントの真価が問われるってことがわかんないのか!?そもそもわたしに良い財布を持たせたいという気持ちがないことが問題だ!おまえの心は腐っている!ボロい財布を使い続けることは風水学的にもよくないはずだ!おまえは風水学的によくないと烙印を押された女と付き合い続けるのだ!おまえも必ず不幸になるぞ!」
と、思いつく限りの言葉で責めたてる。こひくんはもう泣く寸前だ。
そしてついに
「か、買います。買わせてください。」
と言わせた。


結局その後財布は自分で買ったので、こひくんには今日バッグを買ってもらった。いやいや、ありがとうありがとう。嬉しいもんだね、なんの記念日でもないのにプレゼントもらうってのは。