一筆

直筆

前々からこひくんには「もしおまえがわたしを泣かせるようなことをしたら遠慮なくおまえを殺す」と言ってある。 

そして今日、まんまと泣かされた。
実際はまぁ生理中でイライラしていたわたしがちょっとしたことで勝手に怒って泣いただけでこひくんは悪くないのだが、約束は約束だ。
「今からおまえを殺す」とこひくんに宣言した。
こひくんは落ち着いた様子で「よし、わかった。じゃあその前に一筆書かせてくれ。」と言った。
なんだよ、残す遺産もないくせに。いっちょまえに遺言か?と思いつつも、まぁいいでしょうと紙とペンを渡した。死にゆく前の人間はどんなことを書き残すのか。興味深く見ていたら、こひくんはこう書いた。


『美帆が僕を殺しても、僕がお願いしたことなので、美帆に罪は有りません。(自分の名前)』(写真参照)


…っっっっ!!こっ、こひくんたらっっっ!!あぁもうっごめんなさいっ!ごめんなさいっ!殺すなんて言ってごめんなさい!!そんなにわたしのことを思っててくれてたなんて!!あぁ、わたしったらなんておばかさん!!愛してるわダーリン!!


…と思うと思ったら大間違いなんだよっ!本当にわたしのことを思っているなら『自殺します』だろっ!ばーか!わたし捕まっちゃうじゃないのっ!


〜〜〜
注:よい子の皆さんは人にむかって「死ね」だの「殺す」だの言っちゃあいけ    ませんよ!