うっかり

こひくんが宇都宮にきたときに忘れていった携帯の充電器を、こひくんのもとに送りつけてやった。
「充電器届いたよ!わざわざありがとう!」とこひくんから電話があったので、「こひくんはうっかりさんだからしょうがない。」と嫌味を一発お見舞いしてやったところ、
「わざわざ送ってくれたのにこんなこと言うのなんだけど・・・この充電器、俺のじゃなくてみほのなんだけど。」
と言われた。

そんなバカな!と思い、急いで自分の部屋にある充電器を見ると、確かにそこにあるのは、わたしの充電器でなくこひくんの充電器。なんたることか!間違って自分の充電器を送ってしまった!電話口であせるわたしにむかって、こひくんは「うふふ」と笑いながらこう言った。


「みほはうっかりさんだからしょうがない。」


・・・な、なにをーっ!!!
こんな腹立つことがあろうか。言った言葉を返される。ムガーッ!言い返したいけど言い返す言葉がない。もうこのまま電話を切りたい。ひとりで泣きたい。これまでの生き方を反省したい。むしろ生まれたことを後悔したい。あぁ・・・

そんなやりきれない気持ちでいたら、こひくんは相変わらずへらへら笑いながらこう言った。
「まぁまぁ、そんなに落ち込まないでよ。ミスうっかりさん!」



・・・わたしはミセスだよ?
生き方を反省するのはキミのほうだったようだね、ミスターうっかりさん。