2人以上でアウト

こひくんが昨日からずっと、「俺コンタクトにしようかなぁ」とか「髪バッサリ切ろうかなぁ」とか言っている。

明らかに、山ちゃんから遠ざかろうとしているのがミエミエで、なんだかかわいそうになってくる。目頭が熱くなる。『南海キャンディーズの山ちゃんに似ている』と言われたことが、そんなにショックだったのか。かわいそうに。
「そろそろ暑くなるから髪切ったほうがいいよね?」とか「前からコンタクトにしようか迷ってたんだ。」とか、遠まわしな言い方してるところが、より一層かわいそさを煽る。あぁっ、もうっ!素直になれよ!言っちゃえよ!ズバッとさ!山ちゃんに似てるのがイヤだからメガネをはずしたいんだろ!?山ちゃんに似ているのがイヤだから短髪にしたいんだ!!な!?そうだろ!?そうなんだろ!?
ってことで、ズバッと聞いてみた。
「こひくん、山ちゃんに似ていると言われたことを気にしているね?」
そしたらこひくんは、観念した様子でこう言った。
「…だって…だって…。俺だって、1人に言われただけなら聞き流せたけど、まさかそれに賛同する人が現れるなんて…。2人から言われちゃったら…もう…もう聞き流せないじゃないか…。」
ようするにこひくんの言い分はこういうことらしい。『1人に「似ている」と言われた段階では「まったまたぁ!どこが似てるのさ!」と冗談として聞き流すこともできるし、その人の個人的な解釈(?)として受け取ることもできるが、それに賛同する2人目(つまりわたし)が現れてしまったら、「マジで似ている」という可能性を考えずにはいられないだろう。』と。
それじゃあなにかい?わたしがこひくんを追い詰めてしまったってこと?わたしが「確かに山ちゃんに似てるね」と賛同してしまったせいで、こひくんを傷つけてしまったの?そうなのね?あぁ!わたしがこひくんを苦しませていたなんて!わたしのバカッ!嫁失格!


…なんつって。
ウソウソプー。ばーかばーか。そんなことで嫁失格になってたまるかいっ!むしろオマエが旦那失格じゃいっ!自ら山ちゃんに似せていくくらいの心意気を持たんかいっ!飛べない豚はただの豚だし、開き直れない山ちゃんはただの山ちゃんじゃいっ!

山ちゃんに似ていることを利用するくらいのしたたかさが欲しいものですね。と思った。

でもわたしは、もしこひくんに賛同してわたしのことをしずちゃん呼ばわりする人(2人目)が現れたら、そいつの襟元をムンズと掴んで上下に揺すりあげ、なんとしてでも撤回させるけどね。とも思った。