うでまくら

こひくんが毎晩毎晩激しくて・・・じゃなくて、うでまくらをしたがって困る。


はっきりいってわたしは、うでまくらをされるのが不得意だ。かなり苦手な分野だ。首は痛いわ、息苦しいわ、自由に寝返りもうてないわ・・・とても寝られたもんじゃない。
だから横になった際にうでまくらをされても、実際に眠る直前には自ら腕をはずしてしまう。そのたびにこひくんは「あーぁ・・・ヒドイよ・・・」と落胆の声をあげるが、それでも懲りずに毎晩毎晩うでまくらをしてくる。


夕べもそうだった。
「うでまくらしていい?ねぇ、いい?」と言いながら無理やりわたしの首を持ち上げ腕を差し入れるこひくん。
「またですか」と思いつつも腕をどける気力もないほど眠かったわたしは、珍しくうでまくらをされたまま眠りに落ちてしまった。


それからどれほどの時間がたった頃だろうか。
寝ているわたしの頭がゆさゆさと揺れる感覚があった。ふと目を覚ますと、こひくんがうでまくらしている腕をわたしの首の下から引き抜こうと悪戦苦闘していた。しまいにはもう一方の手でわたしの頭をグイグイ押し出す始末。
そうして見事腕を引き抜いたこひくんは、その腕をプルプル振って「いっつぅ〜(痛い)」と呟きながらまた深い眠りに落ちていった。


いびきをかき出したこひくんの横でわたしは、
「あーぁ・・・ヒドイよ・・・」ってセリフは今のためにあるんじゃないかなぁ、と思った。
「ヤりたくてヤったなら最後まで責任とってよ!」ってセリフもいまのためにあるな、とも思った。