一騒動

昨日の話の続き。
財布がないと気付いたこひくん、
「間違ってゴミと一緒に会場のゴミ箱に捨ててしまったに違いない!」と騒ぎ出した。
急いでイベント会場に戻るものの、さっきまであふれていたゴミ箱の中は明らかに「一度回収しましたんで」といわんばかりにゴミの量が減っている。
それでも、相当アセっているこひくんは
「絶対ここだ、ゴミ箱の中だ、ここしか考えられない!!」
と、ゴミ箱に手を突っ込んであさり始めた。
私はその様子を横目で見ながら「絶対ないよそんなとこあるわけないよありえない、ってゆうか今日はもう疲れたしお家帰りたいよ」と思っていた。でも、それを口にしたら私たちの付き合いも終わると思い、申し訳程度に地面を探すフリをした。
案の定ゴミ箱の中から財布を見つけることが出来なかったこひくんは、それでもまだゴミ箱が気になるようで「ここじゃなくてあっちのゴミ箱かな?」などと私に問い掛けてきた。
「だからぁ!ゴミ箱ん中探してあるわきゃねぇからっ!!」なんて言えない。探すフリも疲れてきた私は、最寄りの警察に電話し遺失物届けの手続きをしてもらった。こひくんにそのことを言うと、
「えーうそっ!ありがとう!ゴミ箱の中にあると思ったんだけどなんかなくって・・ごめんね」
と泣きそうな顔で言った。そこまでゴミ箱に期待していたとは・・・もし今私がこひくんの財布を見つけたとしたら、間違いなくゴミ箱にそっと忍ばせて「こひくん!ここ!!こんなところに!!」なんて言っちゃうだろうねと思った。

結局その後ひょんなところから財布は見つかって、ホッと安堵のため息をついた。
『ひょんなところ』がゴミ箱でなかったのは言うまでもない。